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政治・経済 様々なジャンルの歴史について語り尽くします。

IMF(国際通貨基金)の歴史

IMFは4月中旬、世界経済成長率が今年、新型コロナウイルスの世界的大流行によりマイナス3%になると見通している。1930年代の世界恐慌以来最悪の景気後退になると警告している。
そんな中ゲオルギエワ専務理事はこのパンデミックで最も影響を受けやすい最貧国を支援するため加盟国の協力が極めて重要と強調している。しかし、現在は各国が自国のことで精一杯で協力し合うことはできるのだろうか?
今日はそんなIMFの歴史について書きたいと思う。

 

IMFの始まり
1930年代は、世界恐慌や戦争などがあり、各国が自国第一主義者になった結果、逆に世界経済が落ち込み第二次世界大戦へと突入していった。その反省もあり戦時中ながら1944年にアメリカ東部のニューハンプシャー州で国際会議(ブレトン・ウッズ会議)により三つの機関を設立することになった。

 

 

三つの機関とは?
1 IMF国際通貨基金)=国際通貨制度の安定化と経済破綻をきたした国の救済などを目的としている。
2 世界銀行国際復興開発銀行)=戦後復興のための資金提供、開発途上国のための資金提供などを目的としている。
3 GATT関税および貿易に関する一般協定、1995年以降はWTO世界貿易機関))=貿易のルール作り、自由で多角的な貿易制度の推進。

 

 

日本とIMFの関係
日本は1952年に加入し当初は、準メンバーとしての扱いだったが。しかし、1964年の東京おオリンピック後には、フルメンバーに昇格した。また、日本は世界で2番目にIMFに対して出資している。(一位はアメリカ)

 

 

IMFの構成
IMFは加盟国の出資によって成り立っている。その出資比率によってより影響力が強くなるシステムになっている。
・各国の議決権も出資比率と比例する。
IMF職員の出身国別の定員も比例する。
職員総数は2500人その50%は経済学者。

各国の出資比率
1 米国 17、46%
2 日本 6、48%
3 中国 6、41%
4ドイツ 5、60%
5 イギリス 4、24%
*この比率は2018年度のものなので現在と変わっています。

 

 

世界全体のGDPは下がって来ている?
実際、世界全体のGDPは2018年から徐々に下がっています。
2018年 3、6%→2019年 2、9%→2020年 マイナス3、0%(IMFの予測)
今回のパンデミックにより、急激な落ち込みが予測される中日本はマイナス5、2%と予測されている。これらの予測は4月のもので次回は7月に発表予定となっている。
2020年4月時点の各国のGDPの予測
ーイタリア マイナス9、1%
ースペイン マイナス8、0%
ーフランス マイナス7、2%
ードイツ マイナス7、0%

 

 

IMF世界銀行

ブレトン・ウッズ会議ではアメリカとイギリスが中心となった。
アメリカを代表したのは、ハリーホワイト
イギリスを代表したのがジョン・メイナード・ケインズ終戦直後の1945年からIMF世界銀行も同時に動き始めた。
IMFは主に、、マクロ経済や金融部門の問題に注力するのに対し世界銀行は長期の経済開発や貧困削減を主眼とした。
この二つの機関には類似点がある。
1 両期間はワシントンDCにあり、深い繋がりを持っている。
2 構成メンバーが同じでIMFに加入すると自動的に世界銀行にも加入する仕組みになっている。
3 総務会は毎年秋に合同で行われる。日本では過去に2度開催されたことがある。
1964年のフルメンバーに昇格した時。
2012年の東日本大震災後。

 

 

これら2つの機関に奇妙な違い?**
IMFのトップは慣例によりヨーロッパ人が務めることになっている。世界銀行のトップはアメリカ人が務めることになっている。
ではなぜより重要な組織であるIMFのトップをアメリカはヨーロッパに譲ったのか?
それにはある秘話がある。
ブレトン・ウッズ会議でケインズとの議論を制したハリーホワイトはそのまま初代専務理事に任命される予定だったが、直前になってホワイトにスパイ容疑が浮上し任命は見送りとなった。そして任命権はヨーロッパに譲った。

 

 

世界銀行
1944年に設立されワシントンを拠点としている。職員は約1300人。
組織のトップは世界銀行総裁とし、任命は米大統領が行うことになっている。現在の総裁はデビット・マルパス世界銀行は戦後は敗戦国、戦勝国問わず復興のために資金提供して来た。その後は主に開発途上国の資金提をしている。
主な融資対象分野**
1 インフラ整備プロジェクト
2 保険・教育及び気候変動などの地域規模の課題。
3 ジェンダー問題
4 ガバナンス

 

 

世界銀行と日本
戦後復興や経済開発のため日本は1953年から1966年までの間、世界銀行から多額の融資を受けて来た。合計8億6300万ドル(日本円にして約924億円)これらの資金は高速道路の整、新幹線の開通、、黒部ダムの建設などのインフラ整備などに使われた。そしてこの借入金の返済が完了したのは、1990年になってから。

 

 

まとめ
IMF世界銀行ができるまでには世界中の人たちが平和、幸福を求め色々な試行錯誤を繰り返しながら現在に至る。
また今の日本があるのは世界銀行つまり、世界各国の支援があったということを私たちは決して忘れてはいけないと思う。
現在は多くの国が自国を第一に考えているが世界中の国同士が助け合って格差をなくすことが本来あるべき姿ではないだろうか?